家を売るとき(不動産売却時)の媒介契約の種類
不動産屋を選定したら、正式に売却の仲介を依頼するために「媒介契約」を結びます。
媒介契約とは、書面によって、その「売却活動の内容と手数料などの取り決めを明確にするための契約」です。
ただ、この媒介契約は一つでなく、複数の種類があるので、契約する際にどれを選べば良いのか迷うことになります。
このページでは、家を売る際に結ぶ媒介契約の内容と特徴について概要を解説します。
それぞれの違いを理解して、不動産屋と契約を結ぶ際の参考にして下さい^^
媒介契約の内容は?
媒介契約で取り決める内容は主に以下のとおり。
- 依頼主…誰が売却を依頼するか
- 売却物件…どの不動産(家、マンション等)を売却するか
- 売却価格…いくらで売り出すか
- 売却期間…いつからいつまで売却活動をするか
- 活動内容…広告等どんな販売活動をするか
- 手数料…仲介手数料の金額と支払時期
つまり、
- WHO(誰が)
- WHAT(どの家を)
- HOW(どのように売っていくか)
を取り決めするということですね。
媒介契約は仲介業務に関するトラブルを避けるための大切な契約で、宅地建物取引業法でも締結が義務付けられています。
家をトラブルなく売るための第一歩となりますので、内容をしっかり理解しておきましょう。
媒介契約は3種類ある
で、この媒介契約ですが、実は3種類あってそれぞれ特徴があります。
【媒介契約の種類】
専任媒介系
・専任専属媒介契約
・専任媒介契約
一般媒介系
・一般媒介契約
どれも不動産を売るという基本的なことには変わりはないんですが、
それぞれ依頼主側と不動産業者側に制限やルールなどの特徴があります。
ざっくり言うと、
・専任媒介系は1社のみに売却を依頼する契約
・一般媒介系は複数社に売却の依頼をすることが可能な契約
です。
その他にも、自分で売主を見つけた時の「自己発見取引」や「売主への報告義務」、「契約期間」等に違いがありますので、詳しく説明しておきますね。
専任媒介契約と一般媒介契約の違い
専任媒介契約と一般媒介契約の主な違いは以下のとおりです。
【媒介契約の比較一覧】
専属専任媒介 | 専任媒介 | 一般媒介 | |
---|---|---|---|
複数社への依頼 | × | × | ○ |
自己発見取引 | × | ○ | ○ |
レインズ登録 |
必須 |
必須 |
義務なし |
報告義務 | 1週間に1回 | 2週間に1回 | 義務なし |
契約期間 | 3カ月以内 | 3カ月以内 |
規定なし |
項目についてわからない人もいると思うので、媒介契約の特徴をまとめる前に、それぞれの項目について簡単に説明しておきますね。
複数業者への依頼について…
契約した不動産屋の他にも、別途契約を結べるかどうか?です。
専任媒介契約は1社のみ、一般媒介契約は複数の不動産屋との契約が可能です。
自己発見取引について…
売主が自分で見つけた買主と直接売買取引を行うことです。
例えば、親族や知人に売却する場合などが当てはまります。
レインズについて…
指定流通機構と呼ばれる全国の不動産のデータバンクみたいなものです。
ここに登録することにより、契約した不動産屋以外の業者にも物件データが開示されるため、媒介契約の種類にかかわらず、他の業者も売却活動をすることが出来ます。
報告義務について…
専任媒介契約を結んだ不動産業者は、売却活動の進捗について、依頼主(売主)への定期的な報告が義務付けられています。
例えば、「○○に広告を出した」「ネットでの閲覧件数が何件、問い合わせ件数が何件」などなどです。
一般媒介契約の場合は、これが義務付けられておらず、不動産業者の任意となります。
(ただ、問い合わせれば教えてくれますし、定期的に報告してくれる業者もありますので、このあたりは業者側の裁量によるという感じですね。
契約期間について…
不動産業者と結ぶ媒介契約の契約期間です。
専任媒介と専属専任媒介契約では上限が決まっていて、3カ月以内の契約となっています。
一般媒介契約の場合は上限期間は設定されておらず、無期限で契約可能ですが、基本的には3ヵ月を一区切りに契約する場合が多いです。
では、媒介契約それぞれの特徴を、売り主側の制限と業者側の義務にわけてまとめてみます。
専属専任媒介契約の特徴
売主側の制限
1社限定での契約で、他の不動産業者への依頼はできません。
また、自分で売主を見つけた場合に直接契約するという自己発見取引も禁止です。
不動産業者側の義務
レインズへの登録は5日以内に義務付けられていて、売り主への報告も1週間に一度以上することが義務付けられています。
専任媒介契約の特徴
売主側の制限
1社限定での契約で、他の不動産業者への依頼はできません。
但し、自己発見取引は、契約した不動産屋へ通知すれば可能となります。
不動産業者側の義務
レインズへの登録義務はありますが、7日以内と専属専任媒介契約(5日以内)よりも少し期限が緩く、
売主への報告も2週間に1度程度と、こちらも専属専任媒介契約(1週間に1度)よりも緩めの条件となっています。
一般媒介契約の特徴
売主側の制限
依頼した不動産屋以外にも、複数の業者に重ねて売却を依頼することが可能です。
(その場合、それぞれと一般媒介契約を結ぶことになります。)
また、自己発見取引も、契約した不動産屋へ通知すれば可能となります。
不動産業者側の義務
媒介契約や実際の売却については、売り主側の制限は無いんですが、
レインズへの登録や報告については不動産屋側の任意となっています。
どうでしょうか?
ちょっとわかりづらいかもしれないので、
制限の強さ順に上から並べてまとめると・・・
- 専属専任媒介…複数の業者への依頼も自己発見取引もNG
- 専任媒介…複数の業者への依頼はNGだが、自己発見取引は可能
- 一般媒介…複数の業者への依頼も自己発見取引も可能だが、報告義務が無い
といった感じになります。
つまり、専任媒介系は売り主側の制限が強くなる分、売主側を保護するために不動産業者側の義務も強くなるっていう感じですね。
逆に、一般媒介の場合はその逆で、売主の自由度が上がる分、不動産業者の義務が緩くなるという感じです。
たくさんの業者に売ってもらえる一般媒介契約の方がいいの?
専任媒介契約と一般媒介契約の大きな違いは
「複数の不動産業者と契約を出来るかどうか?」
です。
ここまで読んで、
「いろんな不動産屋に依頼できる一般媒介契約の方がメリットがありそう」
「たくさんの業者に売ってもらえる一般媒介契約の方が情報が広がって売れやすい」
と考える人も多いと思います。
でも、実はそんな単純な話ではないんですね。
家売るマンのおすすめはズバリ「専任媒介契約」です。
というのも、上に書いたレインズ(指定流通機構)と呼ばれる全国の不動産情報データシステムのおかげで、契約した不動産屋以外にもあなたの家を売ることが可能だからです。
つまり、専任媒介契約でも、実際は複数の不動産屋が売ってくれることになり、そうなると、一般媒介契約のメリットは薄れていきます。
逆に、専任媒介契約の場合は、売り主への報告義務やレインズへの登録義務など、売主側のメリットがあります。
そして、一番大きいのは、手数料の支払い形態の問題です。
実際に不動産屋と話をすると分かると思いますが、
通常どの不動産屋も専任媒介契約(専属専任、専任)をオススメしてきます。
というのも、一般媒介契約の場合、他社経由でその家が売れた場合は手数料が一切入ってこないからです。
逆に専任媒介契約の場合は、契約時点で売主側の手数料が保証されます。
(もちろん、売れなければ手数料の支払いは不要ですが)
仲介手数料は、「(売却価格×3%+6万円)+消費税(8%)」です。
例えば2,500万円で家が売れた場合、不動産屋が手にする手数料は約87万円です。
結構大きな金額ですよね?
加えて、専任媒介契約の場合、買主側も自社で見つけた場合は、買主側からも同額の手数料をもらえるわけですから、不動産屋側のメリットが非常に大きいのです。
一般媒介の場合は、経費をかけていくら懸命に販売活動をしたとしても、他社経由で売れてしまった場合、この手数料が入らず、ある意味ただ働きになるという大きなリスクがあるんですね。
- 売主側の手数料が保証され、更には買主側の手数料も入るかも知れない専任媒介契約
- 手数料が全く入ってこないかもしれない一般媒介契約
不動産屋がどちらの場合に、しっかりと経費をかけ、熱意をもって売ってもらえるかはもうお分かりかと思います。
媒介契約を結ぶということは、ある意味信頼関係を結ぶということです。
ということで、自分の家をしっかり売ってもらうには、
信頼関係の大きい専任媒介契約がおすすめ
というわけです。
ということで、家を売る時に不動産屋と結ぶ媒介契約について説明してきました。
家売るマンのおすすめは基本的には専任媒介です。
が、ケースによっては一般媒介の方が良い場合もあります。
後悔のない不動産売却を進めるにはもう少し詳しく媒介契約の特徴を知っておいた方が良いと思いますので、それぞれのメリットデメリットについて次ページ以降で解説したいと思います。
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